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甲斐田晃弘さんの詩

 新年に開かれた「あの会」で、甲斐田さんが、2編の詩を綴った。1編目は、やまゆりの事件に関するもの。2つ目は、体調をこじらせ、自分の体に起こった様々な変化をもとにしたものだ。
 
やまゆりのがくぜんとさせられた事件から
もうずいぶんと時が流れたけれど
亡くなった魂はあいかわらず
本当の安らぎは得られていないままだ
本当の安らぎは
亡くなった人たちの真実の姿が
明らかにされることによってしかもたらされない
やまゆりの美しい花にはあれ以来
深い悲しみが宿ったままだ
僕はあれ以来
静かに花をめでることができなくなった
花の中から真実の姿を知ってほしいという声が
聞こえ続けるのだ
だから日々の何でもない散歩の時にも
僕には悲しい叫び声が聞こえ続けている
だから一日も早く
真実の姿が明らかにされることを通して
もう一度平安に満ちた花の姿を取り戻してほしいと
密かに祈る
 
  やせこけた体
こんなにもがりがりの体になって
いったい僕には何が残るのだろうか
もともと歩くこともできなかった僕だから
特に何かを失ったわけでもないし
もともと話すこともできなかった僕だから
特別に何かを失ったわけでもない
それでも僕は
もっと体にたくさんの肉がついていた時を
なつかしんでいる
僕の体は
つねにやせているとは言われないくらいの
ほどよい肉をたくわえていたから
がんばってどこへでもいくことができた
今がりがりにやせた体を鏡で見ながら
こうして人生は
まるで下り坂を下るように過ぎていくのだろうかと
嘆きとともに見つめることもあったけど
一つだけ気づいたことがある
私のだけは決して何一つ失うことも
1グラムもやせることもなく
たくさんの人の思いを受けながら
豊かに豊かに成長をとげているのである
そのことに気づけて
今やせこけた頬に
一筋の希望を感じている
生きるということは
こういうことなんだと

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プロフィール

柴田保之

Author:柴田保之
所属:國學院大學人間開発学部初等教育学科
重度重複障害児の教育、知的障害者の社会教育、介助つきコミュニケーションについて実践的に研究を進めています。

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