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津久井やまゆり園のこと

明日は、津久井やまゆり園での傾聴ボランティアの日である。様々な思いがこみ上げてならない。
 事件前から、知り合いだった職員さんと数名の利用者さんを通じて私が知っていた津久井やまゆり園はそのほんの一部に過ぎないし、今、私がボランティアを通じて肌で感じる津久井やまゆり園も、点のような経験に過ぎない。しかし、今、神奈川県知事の発言をきっかけに広がり始めているイメージとは、大きく異なっている。
 わざわざ私の大学のきんこんの会にまで、施設の職員さんが、ただ気持ちを聞きたいからと利用者をお連れして訪問された姿、その後、懸命に筆談を習得され、ホームでのささやかな語らいが始まったことを知らせていただいたこと、事件のあと、みんなで懸命に、利用者の方々と困難を乗り越えようと気持ちを寄せ合っているとお知らせいただいたことなど、どれもが、私にとっては、胸を揺さぶるものだった。
 そして、新たに意思決定支援の取り組みの一環として、筆談のことをテーマに取り組んだことがきっかけで、ボランティアに伺うようになり、たくさんの職員さんと利用者の方々が、頑張っている姿にも接している。
 午前中の活動の終わりに、歌とギターの上手な職員さんが園歌を歌うことがある。津久井の風景を織り込んだ歌を聞く利用者さんたちは、きっとこの仮住まいから、早くもとの場所の暮らしに戻りたいという気持ちで聞いているだろうと思う。それは、単なる私の想像ではない。私が利用者さんから聞き取った気持ちから思うことだ。
 職員さんのことを思っても、利用者さんのことを思っても、神奈川県知事の発言によって引き起こされた議論を耳にすると胸が痛くてたまらない。
 客観的な議論は大切だが、私のような見方もあることは、どうにかして伝えたい。

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プロフィール

柴田保之

Author:柴田保之
所属:國學院大學人間開発学部初等教育学科
重度重複障害児の教育、知的障害者の社会教育、介助つきコミュニケーションについて実践的に研究を進めています。

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